喫茶店とはもはやアミューズメントと言っても良いのではないか。
よく行く喫茶店の話である。
大阪駅ビルに立地する昔ながらの喫茶店でありながらインスタ目的にも利用されるなんとも不思議な店である。
クリームソーダが有名な店だが特筆したいのは店員である。オーバー70歳3人で構成された店で、現代社会の闇が垣間見えそうではあるが。
ホールの白髪おばちゃんとキッチンのおじさん、おばちゃん2という特徴だけ覚えてもらいたい。
ホールのおばちゃんが喋る。とにかく喋る。1人でも喋っている。
クリームソーダでとオーダーすれば、
あーはいはい話題のクリソーね。
略語を使いこなしている上にめちゃくちゃ早口。半角カナで喋っている様。
出す時は出す時で
栄養満点よ〜スペシャルクリソーよー。
これも早口。というかクリームソーダに栄養のえの字もないだろ。間違いなく蝕んでいる。健康を。
とまぁここまではいつも通りなのだが、今日は違ったたまたま隣の席にいた女性がテレビ関係の仕事をしているらしく、コーヒーの写真を番組のSNSで使いたいという。
やはりメディア関係という事で許可を取りに行くのだが、いかんせんおばちゃんの耳が遠い。
女性が一通り説明した後、おばちゃん2が一言。
え?
まるで時が止まっていたかの様に聞き返す。
もはやテレビ関係の人とも理解していない様子。
そこで白髪おばちゃん参戦。
女性がもう一度説明すると、白髪おばちゃんが
あーうちはねテレビ関係は全部断っているの。だからごめんねー。と
しかし女性もここでは食い下がれない様子。
テレビで紹介するのではなく、ただ写真だけを使いたいんです。
しかしシニア店員一切理解していない。
テレビだって〜。でもね断ってるからねぇ。
あ、写真?写真はね、いいよ。だってね大学生とかね、みんなね、とってるからね。クリソーとかね。とってるから。携帯?みんな携帯でとってるよー。
これも早口。
どうやら女性は時間が迫っているようでここでとらねばという硬い意志が見える。
かれこれ10分ほど問答が続いた。
白髪おばちゃんが一言。
そこまで言われたらねぇ。もうねぇ。しょうがないねぇ。
一旦事態は収束したように思えた。
そこででてくるおばちゃん2
うーんでもねぇ。
渋っている。
白髪おばちゃんも意見を変え始める。
いやでもね、こんなコーヒーどこでもあるからね。どこにでもあるよ?こんなコーヒー。
そんな(笑)うちじゃなくてもいい店いっぱいあるでしょ。
雑だ。背に腹はかえられぬと思ったのか、遂に店をdisる事で回避しようとしている。
女性「いやでも雰囲気がよくて、ぜひここの写し」
あ、サンドイッチ食べなよ!と白髪おばちゃん
女性の頼んだサンドイッチが出来たらしい。
話しの逸らし方も雑だ。食い気味にサンドイッチを勧めていた。
結局女性が折れ、帰り際に
すいません。今日はご迷惑おかけしてまた機会があれば宜しくお願いします。
写真は近くの喫茶店の〇〇さんでとることにしますね。
と伝えるとあら〇〇知ってるのね〜〇〇さん凄いねと感心していた。
僅か30分程の事だったがおばちゃんへのツッコミと女性への同情が絶えず良い時間だった。
ちなみに私もサンドイッチを食べた。
食後皿を見ると、
プーさんがいた。
少し哀愁を含んだかの様な顔は隣で聞いていたおじちゃんの気持ちを物語っているようだ。